胃腸炎が全国で大流行中...感染後の気になる出社目安・食事方法とは?

胃腸炎が全国で大流行中...感染後の気になる出社目安・食事方法とは?

2016年12月27日(火)ノロウイルスなど感染性胃腸炎患者が、2006年に次ぐ過去2番目の多さになったことが国立感染症研究所の発表でわかりました。(参考) ときに爆発的な感染をみせる感染性胃腸炎ですが、ノロウイルス以外にはどのような種類や特徴があるのでしょうか。 今回は感染性胃腸炎の原因、症状、感染後の登校・出社目安、食事方法などを医師の建部先生に解説していただきました。

2016年12月27日(火)ノロウイルスなど感染性胃腸炎患者が、2006年に次ぐ過去2番目の多さになったことが国立感染症研究所の発表でわかりました。(参考

ときに爆発的な感染をみせる感染性胃腸炎ですが、ノロウイルス以外にはどのような種類や特徴があるのでしょうか。

今回は感染性胃腸炎の原因、症状、感染後の登校・出社目安、食事方法などを医師の建部先生に解説していただきました。

感染性胃腸炎の原因

その病名の示す通り、いくつかの経路を介した病原体の感染による腹部症状を主とする疾患です。主に腹部の管になっている管腔臓器(胃や小腸、大腸)における感染に基づく炎症性変化のある状態をいいます。

原因を大別するとその病原体により、ウイルス性胃腸炎、細菌性胃腸炎、寄生虫によるものに大別できます。 

ウイルス性胃腸炎



代表的なものは、ノロウイルスとロタウイルスです。

1:ノロウイルス
牡蠣、ハマグリ、アサリ、ムール貝、シジミといった二枚貝、生野菜が原因食材になることが多いです。

これらの食材からの感染と、ヒト-ヒト感染という2種類があり、経口感染、接触感染、飛沫感染、空気感染といういくつもの感染パターンをとります。

厄介なのは感染した人の糞便や吐瀉物、それらが乾燥した塵埃(エアゾール)などからも経口感染してしまう点で、シーズンになると爆発的な感染を起こし、多数の患者を出してしまいます。

2:ロタウイルス
飲料水(井戸水など)、ノロウイルスと同じく牡蠣、ハマグリ、アサリ、ムール貝、シジミといった二枚貝が原因食材と言われています。

ノロウイルスと同じく汚染された飲料や食物を摂取してロタウイルスに感染した人が、嘔吐や下痢の症状に見舞われた際、便や吐瀉物に触れた人への感染し、その後、ヒト-ヒト感染を起こしてゆきます。

原因についてノロウイルスと異なるのは、今のところ経口感染と接触感染がその感染パターンであろう、という点ですが、咳・発熱・痰といった呼吸器感染症特有の症状も伴うことから気道感染(飛沫感染)の可能性も疑われています。

細菌性胃腸炎



代表的なものは、サルモネラ菌、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌(O-157 等)などです。

1:サルモネラ菌&カンピロバクター
食肉や卵(加熱の足りない肉・生肉を含む)、乳製品の経口感染が主で、カンピロバクターは鶏肉に多い傾向があります。

2:黄色ブドウ球菌
おにぎり、寿司、肉、卵、乳などの調理加工品及び菓子類など様々な食材・食品よりの経口感染です。

3:腸炎ビブリオ
海で取れた魚のお刺身や寿司類よりの経口感染が多いです。塩水中で生存できるためお漬け物が原因食材になることもあります。

4:腸管出血性大腸菌(O-157 等)
牛肉及びその加工品、サラダ、白菜漬け、井戸水など様々な食品・食材よりの経口感染です。

寄生虫による胃腸炎



代表的なものは、クリプトスポリジウム、アメーバ赤痢などです。

1:クリプトスポリジウム
ヒトからヒトへ糞便を介した経口感染、ヒトや動物(ウシ、イヌ、ネコ、ネズミなど)の糞便汚染された水や、食品を介しての感染があります。
※いずれも、病原体の特殊カプセル態(オーシスト)を経口的に摂取することによる

2:アメーバ赤痢
開発途上国ではサラダや野菜など非加熱調理食品や、汚染の可能性のある水や氷を介した経口感染が多く、先進国では性行為による感染者の肛門付近に付着したアメーバ赤痢の経口感染が多いです。

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感染性胃腸炎の症状


共通してみられる症状


・嘔気
・嘔吐
・下痢
・腹痛
・発熱
・全身倦怠感
・時に風邪症状でもある鼻水・咳など

病原体に特徴がある程度みられ得る症状


・白色下痢便(ロタウイルス)
・血便(サルモネラ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌、アメーバ赤痢)

感染性胃腸炎の主な症状は激しい嘔吐、または下痢のいずれかまたは両方です。

場合によりさらにここに発熱などが加わったりもしますので、急激な脱水状態に追いやられることになり、高齢者や小さなお子さんには重症化する可能性があり危険です。

胃腸炎とストレスの関係性


日常的にストレスを敏感に感じてしまう、そのストレスを負担に感じてしまうといったことが続くと、消化管の活動に不調をきたす方がいます。これを医学的には機能性胃腸障害と定義しています。

ストレスにより消化管はその支配神経が過敏になっている、または鈍感になっているのいずれかの状態になっているのです。

それゆえ消化管機能がうまく働かない、胃酸の分泌過多をはじめ消化管機能が逆に活発になりすぎて日常生活に不具合をきたし、以下のような症状を発症します。

・胸やけがする
・のどや口まで酸っぱいものが上がってくる
・胃痛や胃のもたれが続く
・吐き気、腹痛がある
・便秘または下痢を頻繁に起こしている
・お腹が張ったような感じがする

慢性的にこの病状にある方が、感染性胃腸炎に罹患した場合、その消化器症状が強く出る可能性が高いと考えられます。

よって、個人差はありますが消化管の支配神経が、機能性胃腸障害により過敏になっている場合は胃の痛みをはじめとする腹痛や嘔気・嘔吐、下痢が強く自覚され、鈍感になっている場合は嘔気や腹部膨満が強く自覚される場合があります。

感染性胃腸炎が重症化した場合どうなる?


ノロウイルス


消化器症状がメインで、重度の脱水状態にはなりますが、発症後24~48時間で自然軽快することが大多数です。

ロタウイルス


1~2歳の小さなお子さんを中心に重度の脱水状態に起因した腎不全や高尿酸血症ならびに続発性尿酸結石、加えて、難治性痙攣や後遺症を伴う予後不良の脳炎、脳症に至る不幸なケースが稀があります。

サルモネラ菌


小さなお子さんでは意識障害、痙攣および菌血症(菌がいないはずの血液中に細菌が確認される状態)、高齢者では急性脱水症、菌血症を起こし重症化のみならず回復も遅延する傾向があります。

カンピロバクター


自然軽快・治癒する場合が多いですが、稀に急速に発症し左右対称の四肢筋力低下と腱反射の消失を特徴とするギランバレー症候群を生じることが知られています。

稀に敗血症(感染によって全身性炎症が起こり、それによって制御困難で生命を脅かすような臓器障害を生じた状態)などを呈して重篤化するケースがあります。

黄色ブドウ球菌


増殖に際してエンテロトキシンと呼称される毒素を産生し、これによって主に消化器症状を呈するのですが稀に発熱やショック症状(血圧の異常低下)を伴い重症化します。

一般的には比較的早く回復します。

腸炎ビブリオ


今のところ重症化した場合は知られていないため、懸念される疾患もありません。

腸管出血性大腸菌


増殖に際してベロ毒素と呼称される毒素を産生するため、稀に溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症や腸重積などの重症合併症を発症することが知られています。

この溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症し、急性腎不全などを生じた場合は死に至ることもあります。

クリプトスポリジウム


重度の糖尿病、ステロイド剤や免疫抑制剤の大量使用中、HIVを発症しているといった免疫不全状態の場合は、胆のうや胆管や呼吸器系への異所寄生や膵炎を発症するなど、重症化ししばしば致死的になります。

アメーバ赤痢


重篤化は今のところ知られていませんが、クリプトスポリジウムで説明したような著しい免疫不全状態や高度な栄養障害が存在する場合などにおいては、衰弱により死亡することもあります。

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感染性胃腸炎になった場合の登校・出社の目安


上記に挙げたよく知られた病原体による一般的な感染性胃腸炎であれば、特殊なケースを除いて5日間前後の治療により症状は改善することが多いです。

学校への登校


通学中のお子さんの場合は、腸管出血性大腸菌感染症(O-157等)を除き、感染性胃腸炎は学校保健安全法により指定される学校感染症(第一~第三種に区分される各々の感染症)に含まれていませんので、登校停止期間は定められていません。

なお、学校感染症-出席停止の基準は以下のようになっております。

・腸管出血性大腸菌感染症(O-157等)
症状により学校医その他の医師が感染の恐れがないと認めるまで。

・感染性胃腸炎(流行性嘔吐下痢症)
下痢・嘔吐症状が軽快し、全身状態が改善されれば登校可能。

通学中のお子さんで腸管出血性大腸菌感染症(O-157等)による感染性胃腸炎にかかった場合は、臨床症状+医師の診察等により感染の恐れが無いと認めるまでで、それ以外の感染性胃腸炎の場合は、本人の症状が改善に向かっていれば良いということになります。

会社への出社


成人の方の出社に関して言えば、感染性胃腸炎にかかった場合は法律による出社停止期間は一般的に定められていません。

医学的な目安


感染性胃腸炎の主な症状である腹痛、嘔吐、嘔気、下痢がひどく水分摂取もままならない状態が良くなってきたとしましょう。

ですが、嘔吐や下痢が散発している状態ではその病原体が含まれる糞便や吐瀉物、ノロウイルス感染症の場合は、それらが乾燥した塵埃(エアゾール)などからも他の人へ経口感染し得ると考えられますので、医学的な目安として嘔吐や下痢が消失し、その状態が48時間以上継続するならば、登校・出社してよいと考えられます。

他の人への感染リスクを、自身の症状と治療日数で自己判断をするのは一般的には避けられていますので、医療機関に出向いて診察や必要によっては検査を行い、治癒または治癒相当である旨の診断書や証明書を発行してもらってから登校・出社とするのが望ましいと考えられます。

なお、勤務先によっては食品を扱う等の事情から症状軽快時点での検便チェックなど独自の出勤再開規定を作っている場合があります。

感染性胃腸炎になった際に注意する食事方法


感染性胃腸炎に罹患している状態では、消化管が炎症をおこしその消化管機能が低下しています。また消化管内に増殖しながら存在している病原体を追い出そうを過剰なまでに活動する結果、激しい嘔吐や下痢が起こっていることが多いです。

その際、急激な水分、電解質の喪失が生じ得るのでこれに配慮した経口飲食が必要になります。

食べ物



食欲がある場合は、消化管への負担が小さいもの、消化が良く刺激が少ないものが理想的です。

例えば、その乳酸菌による整腸作用を期待してあまり冷やしていないヨーグルトや、具材を敢えて除いた温かいコンソメスープやミネストローネ、お吸い物などを少しづつ様子を見ながら摂取してみることをおすすめします。

これがうまくいくようでしたら、ゼリードリンクやお粥、うどんなど少量より食べてみてください。

飲み物



消化管への刺激や負担を少なくするために、市販されているスポーツドリンクや経口保水液を常温で少しずつ(10分毎に1~2口ずつ程度)水分、電解質補給をしてください。

高齢者の場合はこれらの飲料物が苦手という方もいますので、その場合は湯冷ましや麦茶などに切り替えてみてください。

上記の対応をしても飲食が進まない、特に小さなお子さんや高齢者の方が水分補給ができない状態ならば、重症化しないうちに速やかに医療機関を受診し点滴を主とした対応等で脱水を食い止める必要があります。

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感染性胃腸炎の予防対策

感染性胃腸炎の感染は主に食材からの場合、人の手を介した病原体の拡散に分けられます。

予防策としては、以下のようなことを実行し、体力、感染時の抵抗力をつけておきましょう。

睡眠や休養、バランスのとれた食事




こまめな手洗い




適切に加熱調理したものを食べる




また、緑茶や紅茶などに含まれるカテキンや、薬味としてお馴染みのワサビ、ショウガ、お刺身にあしらわれてる千切り大根やシソの葉には強い殺菌効果があることが広く知られています。

こういった食品、食材をうまく活用するのもよろしいかと考えます。

最後に建部先生から一言

感染性胃腸炎は、どんなに注意をしていても感染してしまう場合があります。症状がひどい場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

(監修:医師 建部雄氏)
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